SKED 我が国の魚類生産を支える黒潮生態系の変動機構の解明

The Study of Kuroshio Ecosystem Dynamics for Sustainable Fisheries

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研究課題

3系.黒潮域食物網動態機構

3.1 懸濁態有機物の形態と挙動(東大大気海洋研・福田、水産総合研究センター・齊藤)

ホログラフィ式水中粒子画像システムと、レーザー散乱計およびヴィデオプランクトンレコーダーを活用して懸濁物の形態と分布様式およびプランクトン組成、環境条件、深度による変質過程を明らかにする。またセジメントトラップを用いサイズ別沈降量を把握する。現場観測によって推定された、生物活動による懸濁物生産と変質過程を確認するための培養実験を行うと共に得られた結果を生態系モデルに記述できるようパラメーター化する。

3.2 ゼラチナスプランクトンの生態と機能(水産総合研究センター・日高)

ピコ・ナノプランクトンが優占する黒潮域で、基礎生産を食物網高次の生物に転送する機能を持つゼラチナス動物プランクトンの分布生態を把握するとともに、ゼラチナスプランクトン由来の懸濁粒子の沈降・分解過程、生産過程を明らかにするための観測・実験を行う。さらに、環境変動に対する、ゼラチナス動物プランクトンとゼラチナス動物プランクトン由来の懸濁粒子の組成や生産の応答を明らかにする。

3.3 動物プランクトンから魚類への転送機構(水産総合研究センター・岡崎、西部、齊藤)

動物プランクトンから魚類への転送過程を明らかにするため、過去に得られた標本および開閉式MOHT、多層開閉式プランクトンネットを利用して得られた餌料生物と魚類仔稚魚試料を用いて被食補食関係を解析し、脂質分析、同位体分析、分子生物学的手法を活用して仔稚魚の栄養動態を明らかにする。魚類餌料生物として重要な、デトライタス食性動物プランクトンの生態を明らかにするため、懸濁粒子やゼラチナスプランクトンの補食過程を飼育実験および現場観測によって明らかにする。

3.4 食物網構造解析(長崎大・梅澤)

東シナ海や黒潮海域の調査航海によって得られるプランクトンや魚類標本の炭素・窒素安定同位体分析を行い食物網の構造を解析する共に、一部の魚類試料についてはアミノ酸の同位体解析を組み合わせることで食物網解析を精査し、かつ、魚類の行動動態(特に広域での空間移動)の把握への寄与していくことを試みる。また、経年変化を捉えることによって、黒潮流軸の変化など物理構造の変化等の環境変化が食物網構造に与える影響を解析する。