SKED 我が国の魚類生産を支える黒潮生態系の変動機構の解明

The Study of Kuroshio Ecosystem Dynamics for Sustainable Fisheries

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2015年度水産海洋シンポジウム

3月21日(土)9:30〜16:20に、東京海洋大学 講義棟 34番講義室にて、水産海洋学会・日本海洋学会との共催によるシンポジウムについて、本プロジェクト研究課題担当者である、高橋素光・齊藤宏明・山田陽巳がコンビーナーとなって企画し、多くの課題担当者が発表した。出席者は98名であった。
黒潮域は貧栄養の亜熱帯水が輸送されるにも関わらず産卵場や成育場が形成される理由や、黒潮の流量や流軸変化に伴う物理環境変動に対する生態系の応答には、不明な点が多い。平成23年度からの文科省委託事業「我が国の魚類生産を支える黒潮生態系の変動機構の解明」により、海域別観測および広域観測を行い、数値モデル実験による成果を合わせて、黒潮生態系の季節・経年変動と、地理的条件に因る変動特性およびその伝搬過程を把握し、黒潮流動構造変化に対する生態系各要素の応答特性が明らかになりつつある。本シンポジウムでは、これら成果を公表するとともに、黒潮隣接水域や親潮域等、他の海域での同様の成果を交換することにより、黒潮域の特徴を明らかにするとともに、海洋生態系研究の最新の解析手法を交換し、海洋生態系研究を進展させ、水産資源の変動要因を明らかにし、その合理的利用に寄与することを目的に企画した。
シンポジウムは、高橋が開会を宣言し、和田水産海洋学会長の挨拶に始まり、高橋が趣旨説明を行った。引き続き、3人の座長の進行により、魚類生産、栄養塩動態、そして両者をつなぐプランクトンの生態的役割とその解析手法について、それぞれ、4、3、4題の話題が提供された。最後に、高橋の進行により、全体を振り返った総合討論が行われた。会場から、貧栄養海域である黒潮流域での魚類初期生活史における影響要因として、水温と餌料環境のどちらが鍵になっているか、について質問があり、2名の演者より貧栄養海域だからこそ、餌料環境が重要であるとの回答があった。また、モデル-現場観測間のフィードバックの必要性、東シナ海における栄養塩供給における黒潮の役割の大きさなどが議論された。
なお、昼食時間に、コンビーナー、演者、黒潮生態系プロ研関係者ほか19名によるランチミーティングを開催した。午前中の話題提供に対する質疑、総合討論における議論の進め方などについて議論をするとともに、出席者各位の研究内容についての意見交換を行い、今後の研究展開の参考とした。

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